- 2008-02-13 (水) 18:44
- Column
残業代に関する誤解で最も多いのが、「管理職には残業代は不要」というものです。先日、某ファーストフードチェーンの店長は管理監督者ではないから、残業代を払わなくてはならないという判決が出ました。さて、この誤解は、労働基準法の第41条を拡大解釈してしまったことから来ています。
実際には、「労働基準法は知らないけど、他の会社がそうしているから、そうなんだろう」という会社が多いと思います。
たしかに、労働基準法第41条では、「監督若しくは管理の地位にある者」は、労働時間、休憩及び休日に関して適用除外としています。
しかし、「監督若しくは管理の地位にある者」(以下「管理監督者」といいます)と、いわゆる「管理職」とは、同じではないのです。
実は、労働基準法では、管理監督者について明確に定義されていません。そこで、行政解釈や判例で示されています。
行政解釈による管理監督者の範囲は、いわゆる管理職よりも、かなり範囲が狭いのです。
具体的には、以下のような基準によって判断されています。
判例では、行政解釈よりもさらに厳格で、容易には管理監督者とは認められていません。
多くの会社では、「課長以上には残業代を支給しない。」としていますが、一般的な会社の課長クラスでは、管理監督者として否認される可能性が高いでしょう。
こういう話をすると、
「どこの会社だって管理職には残業代は払っていないじゃないか!」と言われます。
その通りです。きちんと払っている会社はほとんどありません。管理職に限らず、一般社員にすら、きちんと払っていないケースがかなりあります。労働基準監督署も、調査をしているのですが、マンパワー的な制約から、管理職への残業代未払いまで手が回っていないのです。ただ、労働基準監督署の調査は、徐々に厳しくなってきていますので、今までのようにはいかないかもしれません。また、従業員(若しくは退職者)から申告があった場合に行われる調査では、チェックされる可能性が高いでしょう。チェックされれば、是正勧告を出され、未払いの残業代を過去2年に遡って支払うことになります。(全員分です)中小企業にとっては、致命的なダメージとなりかねません。
監督署の判断を不服として裁判をしても、おそらくどうにもなりません。裁判所は行政解釈よりもさらに厳格ですから。
皆さんの会社では、どのようにされますか?
誰かが監督署に駆け込まなければ、ばれないから、「右にならえ」でしょうか?
じつは、労働基準法違反で是正勧告を出されるよりも、もっと深刻な問題があります。
従業員との信頼関係が壊れる、あるいは信頼関係が構築できないという問題です。
会社の違法行為は、従業員からの信頼を失う最大の要因なのです。
従業員との信頼関係がなければ、従業員の満足度は上がりません。愚痴をこぼしながら、ただ給料をもらうためだけに働くようになります。モラールアップは、困難です。そうなると、お客様に満足をいただけるような、いい仕事は出来ません。
それでいて、表向きは法令遵守を謳っていたりすると、超シラケます。
優秀な従業員が去っていくことになります。
信頼関係が壊れてしまえば、取れるものは取ってやれと言うことで、辞めるときには、監督署に申告します。
「いままで特に問題なかった」とおっしゃるかもしれません。
それは、今まで問題がなかっただけの話です。これからは、労働者も情報武装して賢くなってきます。試しに、ネットで「サービス残業」などと検索してみてください。会社に対抗するテクニックがカンタンに見つかると思います。
企業防衛型就業規則で守りを固めるという考え方もありますが、従業員満足度はますます下がってしまいますね。
やはり、信頼関係の構築を最優先で考えるべきだと思います。信頼関係の構築の第一歩は、法令遵守です。管理職にも残業代を払うということです。確かに、中小企業にとって残業代は、大変な負担です。
しかし、「無い袖は振れない」開き直らないでください。手はありますから。
- Newer: 10人未満の会社の就業規則
- Older: 従業員満足主義という考え方

